伊仏個人旅行 59「プロジェクト・モン・サン・ミシェル」
行くと決めていながら長年旅立つ事は無かったのに、今回旅に出る事を後押しした理由の一つにこのプロジェクトの存在があります。
Projet Mont Saint Michel [ www.projetmontsaintmichel.fr ]
今更ここに説明を書く必要もないかなと思いますが・・・
モン・サン・ミシェルは元々サン・マロ湾に浮かぶ孤島。サン・マロ湾はヨーロッパ最大の干満差が観測される場所。満潮時は孤島であっても、干潮時には干潟が現れ地続きになる。その昔、修道院への巡礼者はそのタイミングを見計らい、干潟を歩いて島へ渡っていたようです。ですが事故も多く、利便性なども考え、その後(いつ?)堤防道が作られました。しかし、この堤防により潮の流れが変わり、その影響で土砂が堆積(資料によると100年で2mの堆積)、昔の様に島が完全に海で囲まれた孤島にはならなくなってきている。
そこで、本来の姿に戻そうと始まったのがこのプロジェクト。工事そのものは2006年から始まったような記憶があります。堤防を撤去して川の流れを改修。川にダムを造り、干潮時に放水することにより、その水流で堆積した土砂を押し流す。堤防撤去後、観光客らは数キロ離れた駐車場(ホテルle Saint-Aubertの裏)から専用のシャトル(サイトには馬車の写真が掲載されている)で移動するか、新たに作られる橋を渡って修道院まで行くことになる。
当初2010年には完了する予定だったが、今の所工期は2015年まで延びる見通しということだ。私が訪れた11月下旬、ダムと駐車場の工事が行われており、堤防撤去や橋の工事は全く始まっていなかった。
このプロジェクトを見に行きたかったのかって?違~う!
プロジェクト工事によって景観が変わってしまう。それが嫌だった。本来の姿に戻すとはいっても、多くの人がモン・サン・ミシェルといって思い描くのは堤防と繋がるあの姿だろう。
(プロジェクトサイトから拝借)
この状態で眺めておきたかった。
それともう一つ。
プロジェクトサイトに掲載されている完成予想図を見ると、工事後の景観が自分的には好きになれなかった。
こういう引きの状態で眺めるのならまだ良い。
対岸から眺めた絵を見ると橋の存在が非常に腹立たしい。
こうなってしまう前に見ておきたかった。
工事が遅れているという情報は入って来ても、実際の進行状況がいまいち掴めなかった。プロジェクト完了時期と仕事の都合を考えると、この状態を見に行けるのはこれが最後のチャンスかもと思ったのだ。
見方を変えると、このプロジェクトが動き始めなければ「いつでも見れる。いつか行こう。」と思うだけで、いつまでも行動に移さなかっただろう。
スーパー「Marche」から島まで歩いて移動する途中、ダム工事の現場に寄ってみた。
泊り損ねたRelais Saint-Michelの道を挟んだ向かい側が工事現場への入口だ。
そこからクエノン川少し上流側を見ると今日も工事を行っている。中に入って怒られないか少し考え、外から眺めるだけにした。
修道院から望遠でダム付近を撮影。
サイトには、完成後は橋の様に渡れて展望所にもなるような事が書かれている。
工事現場の入口にはプロジェクトの説明看板が出ているが、興味を持って眺めるのは自分くらいのものか・・・
次に戻って来れるのは工事後か、それとももう一度この光景を眺める事が出来るのか。やり残しを2つも作ってしまったからね。
問題は金じゃなくて時間なんだなNIPPON社会。
つづく・・・
2011.02.22 (Tue) | Comments(0) | トラベル > フランス | Edit | ▲