伊仏個人旅行 53「Relais Saint-Michel」
運転手が振り返ったのは鼻息が荒かったからではない。島と手前のホテル街、どちらでバスを降りるかの確認だ。
モン・サン・ミシェル滞在一日目は対岸ホテルに宿泊。今日はホテルの部屋から島を眺めながらゆっくり過ごす。ということで、ホテル街で降りる事を告げたら、どこのホテルか聞いてきた。答えるとホテルの少し前でバスを止めてくれ「帰りはあのバス停に立っていれば停車します。」と、少し離れた場所にあるバス停を指さしながら説明してくれた。
他の客にも声をかけて確認していたが、ホテル街で下車するのは私だけだったみたいだ。
雨も降っていることだし、チェックインを済ませて部屋に入ろうとホテルへ・・・のつもりが、奥に見えるシルエットに引き寄せられ、通過して奥の空地へ。
ついにきたでぇ~~モン・サン・ミシェル!
びしょ濡れになりながら牧草地内に突っ立ち眺めているのは自分一人だけだった。
風邪をひく前にチェックインしよう。
【Relais Saint-Michel】 [www.relais-st-michel.com]
島対岸に位置し、MSMに面していて全部屋からモン・サン・ミシェルを眺める事の出来る唯一のホテル。MSMに行く時は必ずここに宿泊!と、決めていたホテル。飯も出ないのに一泊2万円だぞ。
今日はガツガツ動かないで、部屋からの眺めを堪能する。
中に入ると日本人だらけぇ~
一直線にレセプションへ向かい"check in plz!"
スタッフが予約の確認をしている間びしょ濡れの頭をフキフキ。
なんだかスタッフが焦りモードだなあ?でも俺はウキウキ。
もう一度名前を聞いてパソコンを必死に操作。なんかちょっと様子が変だなあ。でも俺はまだウキウキ。
そして言われた。
「あなたの名前が予約名簿に無い」
・・・・え?
予約した時に受け取ったメールをプリントアウトしたものを出して確認してもらう。
スタッフの表情がさらに険しくなり、パソコンを操作しながらどこかに電話をかけ始めた。気にせずウキウキ。でもちょっと心配になって来た。
暫くして何かに気が付いたようだ。
「あなたの予約10月17日になってるわよ!」
・・・・・・?
意味が分からない。説明によると、今日は11月17日で、予約が入っているのは10月17日。つまり一ヵ月前の日に予約が入っているという事だ。
・・・・・・・・・?
やはり意味が分からない。英語が理解出来ないのではない。受け入れたくないだけだ。
暫くしてジワジワと何かが込み上げて来た。
OMG!!!!!
その場に崩れ落ち、気絶・・・・・・はしてないけど。
その場に固まっていたら「残念ながら今日は予約で全部埋まっていて、あなたに部屋を用意する事が出来ない。」とまで言われちまった。
野宿という事ですか?いや、慣れてますけどね。しかし外は雨だし、この寒さだし、防寒着持ってきてないし・・・この地で凍死して伝説になるのも悪くない。なんてことを考えながら固まり続けている間に、対応してくれたスタッフが空室のあるホテルを探してくれたようだ。この辺で唯一このホテルだけ今日部屋が空いていると言われパンフレットを渡された。まだチェックイン時間にはなってないけど、事情を話して今からチェックイン出来るようにしてもらったということだ。
あまりの出来事に、そのパンフレット受け取り、場所だけ聞いてお礼も言わずに立ち去ったような気がする。自分のミスに対し、別のホテル手配までしてくれたのにお礼の一言くらい言うべきだった。この時はそんな事に気が回せる状態じゃなかったんだ。
雨の中、内陸に向かって百メートル程歩く。
一頭の馬を見つけ戯れる変な奴。
今日は君の小屋に泊めてくれないかい?
紹介してもらったホテルは
【le Saint-Aubert】 [www.le-saint-aubert.fr]
一泊65 eur (朝食無)
チェックイン時間にはまだなっていない。連絡がいっているので部屋へ通してくれたけど、まだ掃除中だ。それでも部屋に入って寛ぎ始める自分。部屋についての率直な感想は、突然受け入れて貰ったことだし控えてあげよう。
おばちゃんが自分の部屋を掃除している間、経緯を話して同情してもらったり・・・
掃除も終わり、一人になったところで窓からは何が見えるのかと開けてみると・・・・壁!発狂しそうだった。
何もやる気がしなくなり、隣のスーパーで酒を買い込みやけ酒を飲み始めるのだった。
これはオランダ産ビール。口に合わず少しだけ飲んで流しに捨てる。
またスーパーへ行ってハイネケンを買い込む。
良い具合に酔いが回って、気が付いたら島に向かって歩き出していた。
つづく・・・
2011.02.12 (Sat) | Comments(0) | トラベル > フランス | Edit | ▲